アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



トンカ書店さん
 さういへば水曜日にトンカ書店さんに行ったのだった。
 http://www.tonkabooks.com/

 元町の喫茶店、カフェ・アズマ(「Sanpo Magazine」にも登場しますよ)とのコラボ企画でアズマさんの蔵書が放出されてゐた。それにしてもアズマさん、奥深い人物だ。
 少し前(70〜80年代)のSFや冒険小説でエエのがいっぱいありました。文庫中心に自分の読みたい本だけを遠慮がちに買ったのですが、あっといふ間に2kg近くに。毎日補充されるらしいので、興味のある人はトンカさんへ行きませう。「アラビクさんから聞いてきた」と仰っていただければ、トンカさんもフレンドリーになると思はれます。
「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」品切れのお知らせ
 申し訳ございません。前回告知した「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」ですが、通販での問ひ合わせが殺到し、店頭予約分を除き、現在品切れとなってをります。次回入荷は未定ですので、何卒ご寛恕くださいませ。
「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」追加入荷のお知らせ
 お問ひ合はせを多くいただいております、「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」の追加入荷が完了しました。事務局が500部刷ったとのことですが、もうほとんど在庫がないとの由。
 通信販売も行っております。本体が1,000円、送料180円の合計1,180円にて承ります。
 振込口座等については以下のメールにお問ひ合はせくださいませ。
 cake★qa3.so-net.ne.jp(★=@です)

 ※完売しました。
人形古書紹介
 少しづつですが、人形を扱った古書の紹介をして参りませう。

 相場るい児写真集「RASEN」(光琳出版社,1997)限定2000部シリアルナンバー入り。相場るい児、写真家・豊浦正明署名入り。過去の個展のポストカードが付きます。
 自然のもとに相場作品を持ち出してのロケ撮影。モノクロ写真による陰影が、懐かしさ、切なさ、恐ろしさ、ユーモアといった相場作品の魅力を引き出しています。¥1995.-


ポストカード写真集「Puppengrüße」経年並。
 ドイツで出版された写真集。タイトルは「人形の挨拶」といったところでせうか。少女と人形がともに写ったアンティーク絵葉書がカラーで掲載されてゐます。¥5,000.-


「幻想西洋人形館」内藤ルネ(詩と構成)・安東紀夫(写真) (1974,サンリオ出版)経年並。
 文庫サイズの美しく、かわいらしい本。内藤ルネがコレクションした人形の写真に、詩が添へられてゐます。¥5,000.-


「ANITA'S DOLL MUSEUM 西洋人形館 沢渡朔写真集」沢渡朔(写真),アニータ・ホーキンズ(解説)(1980,サンリオ出版)経年並,表・裏両見返しにテープ跡あり
 『少女アリス』『なおみ』等で有名な沢渡朔によるアンティークドール写真集。アニータ・ホーキンスによる解説のほか、巻末のエッセイが実に豪華。執筆陣に宇野亜喜良、三枝和子、高橋睦郎、高橋康也、都築道夫、中井英夫、松浦理英子、山尾悠子、四谷シモン、神谷圭子。
 エッセイと云ひながら山尾悠子は端正な短編小説「人形の棲処」を成立させてゐます。文芸ファンにも是非。¥6,000.-

事務的なことなども(室長)
 たまりにたまつたレシートや領収書を整理中。ずつと経理の仕事をしてゐたので、お手のもの。それにしても多いこと。今の部屋は住んで半年もたたぬと云ふのに、見つけても見つけても、次々とレシートがあらはれます。中には色が擦れてしまつたレシートも。感熱式は嫌ですね。もうないだらう、と思ってゐても、引き出しからあらはれスーツのポケットからあらはれ本棚の裏からもあらはれる。鉱脈のやうに似た場所から次々とレシートが出てくる。1つ見ると後30葉はあるに違ひないです。

 さていまどきの書店のレシートはたいがい、ISBNが記されてをり、オンライン書店などでそのISBNを検索すれば、何を買つたかが分かるやうになつてゐる。おそろしいことです。そしてISBNと云へばバーコード。以前にも書いた気がするが、古書と現行書とを扱つてゐると、バーコードがいかにも無粋であると思はれてくる。

 福岡の書店の話をする。福岡県では書籍の万引き→古書店への転売を防止する目的で、買ひ上げられた書籍にシールを貼るという試みがなされてゐる。ゐた。ずいぶんと形骸化してゐるらしい。万引き防止の「まんぼう」シールだが、ネットで見る限り、概ね不評である。愛書家には本が「汚される」気になるらしい。

 試み自体は受け入れるべきものだと考へる。新刊+古書といふ営業形体の立場においては尚更。
 「まんぼうシール」のデザインはさておき、各書店がオリジナルのデザインのシールを用ゐる制度にすれば良いのではないか、と考へる。バーコードをたくみに隠すデザインのものが生まれるだらう。むしろそれでバーコードが隠れるのならば、美意識次第では歓迎されるに違ひない。あるいは昔の検印のやうに、あらかじめ奥付にシールを貼るスペースがあつてもいい。
 
 古書の見返し部分には、古書店の値札の名残がある場合が多い。複数に及ぶ札が残つてゐるものもしばしばだ。当たり前だがデザインもそれぞれ違う。あまりたくさんになると、次に値札を貼る古書店主が「どこにはつてやらう」と悩んだ形跡が見てとれさうで、飽きない。なによりそれがたくさん貼られてゐると云ふのは、何度も最流通された証。面白い本に違ひない。

 わたし自身は愛書家とはとても云へない。好書家と呼ばれるのもおこがましいが、ともあれ本の内容だけでなく、佇まいも大切に思つてゐる。次々と札が貼られた後もまた、古書の佇まいに風格を与へるものだ。

 さう思つて本をひらくと、はらりと領収書が落ちてきた。蔵書の中にあと30葉はレシートが挟まつてゐるに違ひない。戦慄。
幕末の乙女心(室長)
 先日ある人にある小説を紹介した。前回のエントリで、どんな状況でも必ずある乙女心について触れたので、こちらでもその小説を紹介してみやうと思ふ。野呂邦暢『諫早菖蒲日記』だ。文芸春秋より出版されてゐたが現在は絶版。

 野呂邦暢は芥川賞を受賞し、作品が映像化され、さあこれから、と云ふところで亡くなつてしまつた。享年42歳。惜しい作家です。最近、人気作家の桜庭一樹が『愛についてのデッサン』を紹介したことで若い読者たちに再評価されてゐる。文芸系古書マニアは必読の小説。古書好きでなくても、落ち着いた文章の佇まいに一読、ファンになる方も多からう。名作です。なおこの作家、創作についてはずいぶん模索を重ねたやうで、ミステリも書いてゐる。本格です。興味のある方は調べてください。

 ジャンルの模索を続けた野呂が書いた時代小説が『諫早菖蒲日記』で、こちらは著者ゆかりの諫早を舞台に、幕末の諫早藩砲術指南役を父に持つ少女、志津の一人称で書かれてゐる。冒頭、諫早湾に帆をあげる船の描写が鮮やかだ。
 

 まっさきに現われたのは黄色である。
 黄色の次に柿色が、その次に茶色が一定のへだたりをおいて続く。
 堤防の上に5つの点がならんだ。
 堤防は田圃のあぜにいる私の目と同じ高さである。点は羽をひろげた蝶のかたちに似ている。


 気丈でお転婆でさへある志津だが、新しく拵へてもらふ筈の絣の着物が、藩の財政事情の煽りから自粛せざるを得なくなつたときの落胆と、裏腹な健気さとはまさに乙女の鑑。何度でも読み返してしまひます。

 なおこの作品、最後までよむとあつと驚かされる。ともあれ、乙女心をもつた方なら、女性も男性も宇宙人も、是非お読みください。

 ところでネットを探つてゐると、野呂のエッセイの文章が引用されてゐた。孫引き。

小説という厄介なしろものはその土地に数年間、根をおろして、土地の精霊のごときものと合体し、その加護によって生み出されるものと私は考えているhttp://machi.monokatari.jp/a2/item_1848.html
(伊藤裕幸「長崎もの語り散歩」より)


 土地の精霊の加護! ジャンルの模索を続けた野呂のこと、あの文章力で中上健次や大江健三郎を向かうにはつたマジック・リアリズム小説を書いてゐたなら……! 返す返すも長生きを、せめて人並みにでも生きてもらひたかつた作家です。
阿倍野・天王寺界隈(室長)
 かつてのホームグラウンド、阿倍野・天王寺界隈をうろつく。天海堂の周辺、すつかり整備されてゐる。東急ハンズが進出すると聞いた。昔はこの並びにあつた旭屋書店と向かいのユーゴー書店が「大型書店」だった。ユーゴーはなんとなく立ち寄つてしまふ。近鉄阿倍野駅を抜け、JR天王寺駅を通り過ぎる。かつて手芸店のABCクラフトがあつたところが今はブックオフになつてゐる。北野恒富の画集があつた。恒富は好きだ。原色の色遣ひがいかにも大阪らしい。今手に入る画集がないのが残念。100円棚に富田常雄『柔』があつたので併せて買つた。

 日を改めて副室長と天王寺に。さういへば昔は歩道橋でミドリガメを売つてゐたな、と亡父に連れられて歩いた記憶を掌に転がして歩く。仲のよかつた兄も一緒にゐ、ともに飽かず亀を眺めた。実家に住む兄は今、薔薇の栽培に凝つてゐる。驚かされる。
 歩道橋から手芸店ABCクラフトに行く。ハトロン紙を買ふた。ABCから近鉄百貨店を見上げる。あそこに日本一の高さのビルディングが出来る。上町台地から続く地盤は堅固で、歴史的に霊性もあるから、おそらく成功するだらう。あやめ池遊園、バッファローズ、OSK日本歌劇団、近鉄小劇場……これらは建設費の捻出に貢献したのだらうか。6百億円内外の建設費と想像する。その「内外」の端数で小劇場だけでも救へなかつたか。詮無いことだが。
 いい古本屋がある、と副室長が云ふので四天王寺の「古本さくら屋」さんに向かふ。この間吉屋信子の『屋根裏の二處女』(家庭社版)を買つたお店らしい。成程「さくら屋」さんの棚は乙女好み。昭和期の雑誌が充実。店の奥には探偵小説も何気なく並べられてゐたり、レジ横にベルメールのポスターが配されてゐたり。奥に進むほど、不穏な雰囲気を纏ひはじめる素敵なお店です。いろいろと相談にも乗つてもらつた。ありがたうございます。
 谷町線仲間(?)として心強い。四天王寺夕陽丘にて下車すぐ。
http://maps.google.co.jp/maps?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2006-44,GGLG:ja&q=%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E5%B1%8B%E3%80%80%E5%9B%9B%E5%A4%A9%E7%8E%8B%E5%AF%BA&oe=UTF-8&um=1&sa=N&tab=wl
SF指南(室長)
 新歌舞伎座に行つた後、関西SF界の重鎮にいろいろと相談。SFにはとんと弱いのです。「夏焼の写真集を置かなきや暴れる」と云はれ、真剣に配置を検討。ベルメール、四谷シモンの写真集と並べたら溶け込むと思ひます。真面目な回答です。

 未だ読者の姿が見えぬこのブログですが、ハンス・ベルメールとは四谷シモンとは、と解説しないのと同様、夏焼についても解説はしません。あしからず。
下鴨古本まつりその後
 朝10時の開始にあはせて開場に赴き、気がついたら午後4時。どないやねん。
 団扇に書かれた本の数を数へたりしてゐたからですね。でもおかげで記念品をば戴きました。正解者第一号としてビールももらへました。炎天下、さんざ歩き回つた中でのビールは最高で、何より元気を取りもどせました。流石飲むパン、と言はれることだけはある。

 終了後、東郷青児専門のギャラリー喫茶「ソワレ」へ。ガケ書房には行く時間がなかつた。その後面識のある人が誰一人としていない、関西古本同人グループの「すむーす友の会」に参加させてもらふ。面識なし、のはずがこちらをご存知の方がをられて驚く。古本を集めるやうになつてから、ずいぶんとかうした縁があることが増へた。貴重な話も伺ふことができた。差しさはりがあるといけないので、名前は挙げないが、感謝してをります。ありがたうございました。

 それにしても均一で見つけた谷崎『痴人の愛』初版より塔晶夫より、団扇の記念品である手帳のほうが皆様に受けたやうなのはどないやねん。
下鴨古本まつり
無事帰宅。いろいろな方と会い、いろいろな話を伺うことができた。後でまた書く。
古本の収穫は谷崎など。多分これは書かない。