アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
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事務的なことなども(室長)
 たまりにたまつたレシートや領収書を整理中。ずつと経理の仕事をしてゐたので、お手のもの。それにしても多いこと。今の部屋は住んで半年もたたぬと云ふのに、見つけても見つけても、次々とレシートがあらはれます。中には色が擦れてしまつたレシートも。感熱式は嫌ですね。もうないだらう、と思ってゐても、引き出しからあらはれスーツのポケットからあらはれ本棚の裏からもあらはれる。鉱脈のやうに似た場所から次々とレシートが出てくる。1つ見ると後30葉はあるに違ひないです。

 さていまどきの書店のレシートはたいがい、ISBNが記されてをり、オンライン書店などでそのISBNを検索すれば、何を買つたかが分かるやうになつてゐる。おそろしいことです。そしてISBNと云へばバーコード。以前にも書いた気がするが、古書と現行書とを扱つてゐると、バーコードがいかにも無粋であると思はれてくる。

 福岡の書店の話をする。福岡県では書籍の万引き→古書店への転売を防止する目的で、買ひ上げられた書籍にシールを貼るという試みがなされてゐる。ゐた。ずいぶんと形骸化してゐるらしい。万引き防止の「まんぼう」シールだが、ネットで見る限り、概ね不評である。愛書家には本が「汚される」気になるらしい。

 試み自体は受け入れるべきものだと考へる。新刊+古書といふ営業形体の立場においては尚更。
 「まんぼうシール」のデザインはさておき、各書店がオリジナルのデザインのシールを用ゐる制度にすれば良いのではないか、と考へる。バーコードをたくみに隠すデザインのものが生まれるだらう。むしろそれでバーコードが隠れるのならば、美意識次第では歓迎されるに違ひない。あるいは昔の検印のやうに、あらかじめ奥付にシールを貼るスペースがあつてもいい。
 
 古書の見返し部分には、古書店の値札の名残がある場合が多い。複数に及ぶ札が残つてゐるものもしばしばだ。当たり前だがデザインもそれぞれ違う。あまりたくさんになると、次に値札を貼る古書店主が「どこにはつてやらう」と悩んだ形跡が見てとれさうで、飽きない。なによりそれがたくさん貼られてゐると云ふのは、何度も最流通された証。面白い本に違ひない。

 わたし自身は愛書家とはとても云へない。好書家と呼ばれるのもおこがましいが、ともあれ本の内容だけでなく、佇まいも大切に思つてゐる。次々と札が貼られた後もまた、古書の佇まいに風格を与へるものだ。

 さう思つて本をひらくと、はらりと領収書が落ちてきた。蔵書の中にあと30葉はレシートが挟まつてゐるに違ひない。戦慄。
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