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「遠く」〜高橋野枝個展「とまりぎ」より〜

みなさん、先日のパッション溢れる記事読んでくださいましたか。
己をさらけ出すということは勇気がいるもので、また読者の反応がすこぶる気になるものでございます。
が、あえて後ろは振り返らず、今日もパッション大放出で紹介しますよ!

「遠く」というタイトルの作品。

鼻の先から尻尾の先までが43僉
つま先から鼻の先までの高さが45僉
胴体のいちばん膨らんだところの幅が20僉

 

 

 

からだは「午睡」と同じく布やひも、羊毛で覆われています。

一見したところ、子羊のように見えます。
指先は爪と肉球で大地を踏みしめるのではなく、蹄のように、キュキュッとしていますね。
しかしあえて蹄として形作るのではなく、脚をひとつのまとまりとして表現しています。
具象と抽象の真剣なせめぎ合いを垣間見る思いです。
と真面目に書くそばから、もうひとりの私がささやくのです……
こぶしで立っているよう見える……こぶし……グー……グゥてい……
ヤダ!かわうぃ〜!
このこは羊なんかじゃないわ!グゥ蹄よ!グゥ蹄類という未知の生き物なのよッ!

ということで、グゥ蹄類「遠く」ちゃんを詳しく見ていきましょう。

緊張感のある立ち姿は、鋭さのある白い光が似合います。
羊もこんなふうに空中の一点に意識を集中させることがあるのでしょうか。
反った胸から鼻の先に至る曲線を見て、私がいちばん最初に思い浮かべたのはやはり犬のことでした。

花々の気配が空を満たす春の昼下がり。
刻一刻と空気が湿り気を帯びていく夏の日暮れ。
秋の草が綿毛を飛ばすよく晴れたの日。(このあとくしゃみをする)
濡れた鼻先がピリリとするような冬の夜。
わずかに反った背中は、走り出したい衝動をグッとおさえているようにも見えます。

 

このこは今、何を感じ取っているのでしょう。

濃密な香りから、春の野原を。
肌にまとわりつく空気から、夕立の気配を。
爽やかな風から、里の実りを。(このあとくしゃみをする)
澄んだ空に、よく響く遠吠えを。


下から見上げるように写真を撮ると、神獣のよう。
こちらの存在に関係なくただそこにいる、絶対的な距離感。

 

そんな上半身(まえ半身?)の緊張感に対して、おしりが無防備なことよ!
形状は羊っぽい、あの、プルプルするやつ。
色の濃い羊毛で表現されています。これは
「ほれほれ、尻尾はここだよ。触らないのかい?」と言っているようなものです。
触ってしまうと、ずっと撫で続けてしまうやつです。


右のお腹には、お花模様のゴブラン織りが。
この花はきっと好きな食べ物だと想像します。


控え目なお耳。
食いしん坊にも、おしゃべりにも見える口もと。

顔を近づけると、磨きや彩色の重ね具合に加え、単純に見えるけれど連続的で複雑な造形の様子が見て取れます。

アーモンド形の目は、犬とも羊とも違います。
陸上の哺乳類は、白目がほとんど露出していないものが多いそうです。
光を反射しやすい白目を隠すことで、敵から身を守っているのだとか。
「遠く」ちゃんの目は、イルカやクジラの目と似ているでしょうか。
好奇心や茶目っ気と思慮深さが共存している瞳です。


ありのまま存在することで、ありのままを受け止めてくれる、良い距離感。
目線は遠く、交わらないようでいて、実は見るもののそばに寄り添ってくれる作品なのではないでしょうか。
以上、「遠く」でした。
「遠く」ちゃんにそばにいてほしい、というかた、
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