アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



ハードルを越えて(室長)
 フライヤを取つて頂いた方には申し訳ないことに、書かれてゐる情報はこのブログのアドレス程度のもの。しかしフライヤを取り、かつサイトにアクセスされたというハードルを越へられた方には何か感謝を示さなければ、と思つてをります。何らかの特典を提供させていただく所存ですので、このブログをご覧になられた方、どうぞフライヤを捨てずに保存しておいて頂きたく存じます。
 
 さて、フライヤをご覧頂いてもこのブログをご高覧頂いても、「どんな店やねん?」と云ふ疑問は消えますまい。そこで簡単に想定問答集を作つてみました。お暇のある方はご覧あれ。

Q:開店はいつからですか?
A:10月上旬にゆるゆると開店し、11月に本格的に営業をはじめます。

Q:書肆ってなんて読むんですか?
A:「しょし」と読みます。書店の意味です。概ね古典籍等を扱ふ立派な古書店が使ふやうです。弊店は音の響きで決めました。

Q:メニューは?
A:珈琲のほか、ソフトドリンク、それにアルコール類を準備してゐます。座敷や椅子に座らず、「立ち飲み」をされる方には割引価格でドリンクを提供する予定です。

Q:本を買いたいのですが、ドリンクは必ず注文しなくてはいけないのですか?
A:いいえ。本の購入を目的に来店され、欲しい本がない、といふのは当然のことです。座席や座敷をご利用の際は、ドリンクをご注文願ひます。

Q:どんなジャンルの本を扱っていますか?
A:文芸書が大半です。純文学、幻想文学、ミステリ等、ジャンルに偏りはあまりないと思いますが、結果的にこれらのジャンルを横断するユーモア小説や、少年少女を主人公とした成長小説が多くなつてゐる傾向があります。ちなみに現在店舗に設置されてゐるボードに貼付されている書籍の写真は、塔晶夫『虚無への供物』,津原泰水『ピカルディの薔薇』,尾崎翠『アップルパイの午後』,七戸優『オイシャサンゴッコ』,獅子文六『父の乳』です。このあたりからいろいろ類推してみてください。

Q:店頭以外にも本はあるのですか?
A:あります。探求書がある場合、ご相談ください。

Q:本の注文は可能ですか?
A:古本については探求本を探すお手伝いは可能ですが、「期間を定めて、確実に」見つけることはできません。新刊については取り寄せ可能ですが、最短でも2週間程度の期間がかかります。これらの点をご了承ください。

Q:本の値段はどこに書いてありますか?
A:弊店では新刊と古本との両方を取扱います。新刊はスリップ(本に挟まれている短冊状の紙)がありますので、定価が販売価格です。古本については「アラビク」と書かれた紙に手書きで記載された価格が販売価格です。古本ですので、見返し等に鉛筆での価格が残っている場合がありますが、弊店での販売価格ではありません。ご理解ください。

Q:どうして古本と新刊とが売られているのですか?
A:古本がどれだけ高価で取引されやうと、作家・出版社は経済的利益を得られません。したがつて弊店では新刊書店で売られてゐる書籍(以下、「現役の書籍」と呼びます。)に関しては、原則として古本の販売を行ひません。作家・出版社等のクリエイタの権利を守るための弊店のポリシーです。ご理解ください。

Q:本は読んでもいいのですか?
A:是非お読みください。ただし、すべての本が「商品」であることをご理解のうえ、相応の取り扱ひをお願ひします。
1. 古本の棚に並んでいるものは読んでいただいてかまいませんが、古本はわずかな破れや傷、皺などが価値を大きく損ねる場合があります。塗れた手で持つ、本を開いたまま机に伏せる、といったことは絶対におやめください。
2. 新刊に関しても1.に準します。一般の新刊書店と異なり、弊店では取次(本の問屋)への返品といふことができません。「売り物にならない」ほどの汚損をされた場合はご購入いただきます。
 以上をご理解のうえ、お取り扱ひ願います。「普通に」扱っていただければ大丈夫です。

Q:本の買取はするのですか?
A:現在大阪府警公安委員会に古物商の免許を申請中ですので、免許を取得次第、買取を開始いたします。なお、弊店のポリシーにより、「現役の書籍」については高い買い取り価格を提示できないことをご理解ください。一般的に古書店ではそれぞれ、文芸書、歴史書、科学書……など、得意ジャンルがあります。各店の特異ジャンルに沿つたものを持ち込んでいただくのが高価買取の骨です。また、本に限らず、古いチラシやポスター、パンフレットやスタイル画、写真などは、思わぬ価値を持ったものがあります。ご相談ください。漫画やベストセラー、最近の雑誌は買取できない場合があります。

Q:古い建物ですね
A:工事中、75歳と仰るご婦人が「小ちゃな頃にお遣ひに来たの」と教へてくれました。従って少なくとも築後70年は経っている筈です。

Q:イベント・読書会をしたいのですが
A:ポエトリーリーディングや文芸同人の会合、読書会、百物語、句会といつた、本にまつわるイベントは公開・非公開を問わず歓迎します。料金等はワンドリンク+αが目安です。ご相談ください。
 なお、長屋ですので、隣家と壁を隔てて繋がってをります。暴れたり跳ねたり柱でのテッポウを行なうイベントは行なへません。
(副室長)フライヤーが飛んでいく
 先日、ボードの設置につきまして、室長が述べてをりましたが、同時にフライヤーも作成し、道行く方にお持ち帰り戴けるやうにしてをります。
 さて、このフライヤーですが、本日、残数を確認いたしますと、僅か2日間(しかも平日)で16枚も減ってゐるではありませぬか!
 慌てて補充するとともに、驚きを隠せぬ副室長でございました。
 あのフライヤーをご覧になって、ブログにお見えいただいた方いらっしゃいましたら、まことにありがたうございます。
 10月には是非お店へ足をお運び下さいませ。
スシボンバー!(室長)
 弊店スタッフ(?)の甘南備あさ美ちやんがイモノケ文学賞にて高原賞を受賞とのこと。スシボンバー! あ、いや高原英理さんのことですか。
 稲生平太郎にちなんだ約800字の掌篇で、タイトルは「三次育ちじゃけ牡蠣あんまり食べんかった」……なんじやそら。作品はしかし、朗読されなかつた模様。広島弁の女性一人称の作品らしいので仕方ないですね。
 http://blog.bk1.co.jp/genyo/archives/2007/08/post_1068.php
 あさ美ちやん、東雅夫氏の掌篇公募には3回応募して2回入選してゐる。弊店の孝行娘です。はやく短篇、中篇も完成させろよ。

(付記)
 どうでもいいのですが、×「イモノケ」○「イノモケ」でした。自分で気づいた。
ボード設置(室長)
 工事をしてくださつてゐる大工さんが「工事してるといろんな人が何できるんか聞いてくるんよー」と仰るので、急遽ボードを設置。未だ読者の姿が見えぬこのブログとはいえ、このブログをご高覧頂いてゐる方には目新しい情報が書かれたボードではありません。
 扱ふ本と珈琲の写真を貼付してゐます。それを留めてゐるマグネットは松本かつぢのイラストがあしらはれたもの。Books・・・ coffee・・・ and ・・・と書いてゐます。andの含みにご期待あれ(?)

ボード
工事は順調(室長)
 今までの背景はフォントの大きさの調整の仕方が分からず、見辛いのでやめました。

 さて、世間でいふ夏休み中はほぼ毎日、物件に出かけイメージトレーニングをしてゐました。商家を経て民家となつてゐた長屋の板間を剥がすと、数十年ぶりに姿を現す土間。意外に広いスペースが確保できます。ここにソファを置いて、ここに机を置いて、従業員の導線はかうで、本棚はあちらとこちら。精算はかくの……考えてゐると、あつといふ間に時間が経つ。

 いまいちばん悩んでゐるのは座敷で何を履かうかといふことです。靴はありえないが靴下も間抜けだ。
阿倍野・天王寺界隈(室長)
 かつてのホームグラウンド、阿倍野・天王寺界隈をうろつく。天海堂の周辺、すつかり整備されてゐる。東急ハンズが進出すると聞いた。昔はこの並びにあつた旭屋書店と向かいのユーゴー書店が「大型書店」だった。ユーゴーはなんとなく立ち寄つてしまふ。近鉄阿倍野駅を抜け、JR天王寺駅を通り過ぎる。かつて手芸店のABCクラフトがあつたところが今はブックオフになつてゐる。北野恒富の画集があつた。恒富は好きだ。原色の色遣ひがいかにも大阪らしい。今手に入る画集がないのが残念。100円棚に富田常雄『柔』があつたので併せて買つた。

 日を改めて副室長と天王寺に。さういへば昔は歩道橋でミドリガメを売つてゐたな、と亡父に連れられて歩いた記憶を掌に転がして歩く。仲のよかつた兄も一緒にゐ、ともに飽かず亀を眺めた。実家に住む兄は今、薔薇の栽培に凝つてゐる。驚かされる。
 歩道橋から手芸店ABCクラフトに行く。ハトロン紙を買ふた。ABCから近鉄百貨店を見上げる。あそこに日本一の高さのビルディングが出来る。上町台地から続く地盤は堅固で、歴史的に霊性もあるから、おそらく成功するだらう。あやめ池遊園、バッファローズ、OSK日本歌劇団、近鉄小劇場……これらは建設費の捻出に貢献したのだらうか。6百億円内外の建設費と想像する。その「内外」の端数で小劇場だけでも救へなかつたか。詮無いことだが。
 いい古本屋がある、と副室長が云ふので四天王寺の「古本さくら屋」さんに向かふ。この間吉屋信子の『屋根裏の二處女』(家庭社版)を買つたお店らしい。成程「さくら屋」さんの棚は乙女好み。昭和期の雑誌が充実。店の奥には探偵小説も何気なく並べられてゐたり、レジ横にベルメールのポスターが配されてゐたり。奥に進むほど、不穏な雰囲気を纏ひはじめる素敵なお店です。いろいろと相談にも乗つてもらつた。ありがたうございます。
 谷町線仲間(?)として心強い。四天王寺夕陽丘にて下車すぐ。
http://maps.google.co.jp/maps?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2006-44,GGLG:ja&q=%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E5%B1%8B%E3%80%80%E5%9B%9B%E5%A4%A9%E7%8E%8B%E5%AF%BA&oe=UTF-8&um=1&sa=N&tab=wl
SF指南(室長)
 新歌舞伎座に行つた後、関西SF界の重鎮にいろいろと相談。SFにはとんと弱いのです。「夏焼の写真集を置かなきや暴れる」と云はれ、真剣に配置を検討。ベルメール、四谷シモンの写真集と並べたら溶け込むと思ひます。真面目な回答です。

 未だ読者の姿が見えぬこのブログですが、ハンス・ベルメールとは四谷シモンとは、と解説しないのと同様、夏焼についても解説はしません。あしからず。
さういへば中崎町
 保険屋さんと打ち合わせ。
 終了後、内装を検討してゐるとたくさんの人が覗きこんでくる。そりやあ気になりますよね。
 どうぞどうぞと見学してもらう。みんな剥き出しの天井など、おもしろがつて見てくれる。オープンしてからもよろしくお願いします。

 曽根崎警察に。古物商の許可証についてヒアリング。禁治産者等で「ないこと」を証明する書類が必要なんですつて。早速谷四に移動。法務局に行つて書類をとる。本籍地の中央区役所でも同種の書類をとる。同種のものが2種必要というあたり、古本屋開業のハウツー本に記載されてゐることとは微妙に違ふ。
 途中、府の産業支援施設で融資の相談。
 ここまできたから本町の問屋街をひやかすか、と思つて足をむけたら閉まつてゐた。
 しかしここまできたから、と心斎橋の農林会館に。オシャレ古書店のベルリンブックスがあるのです。閉まってた……
 しかしのしかしここまできたから、といふことで立花通りの家具屋さんに。セミオーダのソファを注文。ベッドにもなる。お寛ぎ頂けると思ひます。居眠りしにきてください。
 ここまできたから、とJR難波から帰ることに。
 ここまできたから、と丸善に。かつて「担当者はのの(辻ちやんヲタれす」と書かれたポップが揺れてゐた写真集コーナー、荒れてゐた。書店から熱のこもつた棚が失はれるのは寂しいことれす。
 やまやでウィスキーやリキュールやを買い込んで帰つた。
下鴨古本まつりその後
 朝10時の開始にあはせて開場に赴き、気がついたら午後4時。どないやねん。
 団扇に書かれた本の数を数へたりしてゐたからですね。でもおかげで記念品をば戴きました。正解者第一号としてビールももらへました。炎天下、さんざ歩き回つた中でのビールは最高で、何より元気を取りもどせました。流石飲むパン、と言はれることだけはある。

 終了後、東郷青児専門のギャラリー喫茶「ソワレ」へ。ガケ書房には行く時間がなかつた。その後面識のある人が誰一人としていない、関西古本同人グループの「すむーす友の会」に参加させてもらふ。面識なし、のはずがこちらをご存知の方がをられて驚く。古本を集めるやうになつてから、ずいぶんとかうした縁があることが増へた。貴重な話も伺ふことができた。差しさはりがあるといけないので、名前は挙げないが、感謝してをります。ありがたうございました。

 それにしても均一で見つけた谷崎『痴人の愛』初版より塔晶夫より、団扇の記念品である手帳のほうが皆様に受けたやうなのはどないやねん。
下鴨古本まつり
無事帰宅。いろいろな方と会い、いろいろな話を伺うことができた。後でまた書く。
古本の収穫は谷崎など。多分これは書かない。