アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



人魚の足は?
 人魚の足は何本でせう? そもそも人魚に足なんてあるの? ゼロ本? といふ声が聞こへて来さうですが、いへいへ、判じ物ではありません。スターバックスのペツトマークをご覧ください。足が二本ございます。アイルランド起源の古い人魚はさう描かれるのです。うろ覚へですが。
 さて、当店にも二本足の人魚人形(京都弁なら「にんぎよにんぎよ」と発音されますね)がやつてきました。トサカネコ舎による人魚人形は球体関節で可憐な鰭を動かします。作品タイトルは「蜜のあはれ」。展示画像は後ほど。
 また、同時に陶人形作家、相場るい児の根付・帯留・陶人形の展示も開始されました。鬼や髑髏や蝙蝠やから鸚哥や金魚といつたものまで、陶器でできた人形は深刻で可愛くてダークで面白くて、人が人形に求めるたくさんの要素が小さなサイズに詰まつてゐるのです。是非こちらもご来店のうへご確認ください。
 
 
また間に合はない(室長)
 全く面識もなかつたのでこのやうに書くのは不遜でもあらうが、会ひたかつた。いつか会へると思つてゐた人がこの世から去る。そんなことが少しずつ増へてきた。会ひたい人に会ふ。話せる人とは話す。好きな人には好きと伝へる。

 忙しさにかまけ、訃報をやうやく知りました。京都、寺町の黒猫堂のことです。高橋さんのご冥福を心よりお祈りします。
変空(室長)
昨日のお客様との会話。携帯小説についてレクチャーを受ける室長であります。いろいろ配慮して固有名詞を変更したり脚色をしたりしてゐます。

 「『変空』ってあるんですけど」
 「あー、最後に恋人が死んでハッピーエンドな感じの小説ですね」
 「そうです。すごいんです。文法なんかもさうなんですが、難病の恋人が入院してゐる無菌室に」
 「難病!」
 「『さつと埃を払つて入つた』つて描写があつて」
 「駄目じやないですか! 消毒しなくちや!」
 「しかも口移しでキャラメルまで食べさせて」
 「破廉恥! しかも雑菌塗れ! 完全に殺人ですよ!」
 「殺人です」
 「未必の故意……いや、テキスト論的に読むと、やはり恋人を殺すことに成功した女の話なのでは?」
 「うーん、さうかもしれません」
 「さうでなくとも物語の中で妊娠するとおなかの子供も殺されるのでせう?」
 「ええ、必ず駄目ですね」
 「連続殺人!」
 「それで、続編が出たんです」
 「また殺戮が!?」
 「続編は男性視点で」
 「あれ? 『変空』て一応実話といふ触れ込みでは?」
 「ええ。よく頑張つて書いたな、とは思ひますけど」
 「実話で……男性視点……今度は“信頼できない語り手”の手法ですね。カズオ・イシグロもビツクリだ」
 「信頼できない語り手?」
 「一人称で視点が固定されている小説で使われる手法です。本人が懸命に何かを捜し求めるのですが、周囲で何が起きてゐるかわからないのですね。視点の固定ゆえ。結果的に主人公が頓珍漢なことをしてゐることに読み手も次第に気づかされます。さういふ手法です。小説の基盤が揺らいでしまう手法ですから、主人公が捜し求めるのは主人公のアイデンティティの根幹であるものが多いです。そこが読み手と主人公とをシンクロさせる。『わたしたちが孤児だったころ』とか。名作です」
 「うーん」
 「『変空』、読みたくなつてきてしまいました」
 「いや、それはやめといたほうが」
 「涙のためなら愛する人を殺すことも厭わない。病んでる」
 「それこそが難病です」
 「無差別大量殺人の時代か。笠井潔さーん! 分析してくださーい!」

 室長が進める難病物はボリス・ヴィアン『日々の泡』、津原泰水『赤い竪琴』です。
 ここで気付かされるのは、世紀末SFの多くが難病ものの変奏だといふ点。恋した女の子が超能力者だつたり、世紀末になすすべなく滅亡をまつ人類だつたりつて、難病ものと同じ構造です。『日々の泡』も『赤い竪琴』もその類型を逆手に取つたところがあり、それで室長はこれらの作品が好きなのかもしれません。
 
気分を変へて
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笹かまぼこをいただいた! 閉店後、さつそく普段ティラミスを載せてゐる伊万里に載せていただいた。
プリつとした弾力が心地好い。噛み締めるとほろほろと身が解れる。実に美味でした。

ええと、とりあへずそんな感じです。
白石かずこ朗読会(室長)
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 三島の思ひ出、澁澤・矢川夫婦の思ひ出を聞かせてくれた。
 朗読後、室長の「白石さんにとつての、人形の一番の魅力を教へて下さい」といふ問ひにサインと回答とを書いてくださいました。
 それがなんと、今考へている企画展とシンクロする回答! 興奮しました。どのやうな言葉かは御来店の方のみにお教へします。幸せな夜でした。
本日は閉店しました(室長)
 以前から告知しておりますとをり、本日は営業を終了しました。

 その他のお知らせ:
 明日からCS mjtv(ミュージックジャパンティーヴィー)にて当店でロケ撮影が行われた番組が放映されるかと思ひます。未確認ですが。放映予定は以下の通り。
http://www.mjtv.jp/lineup/15min/index.html
 店の紹介ではなく、bonobosというバンドの方のインタビューなのですが、当店の雰囲気はご覧いただけるかと思ひます。繰り返し書くやうに未確認ですが。

 ケーブルテレビ番組「Ahndante」の当店登場回の放映は終了。サイト上でバックナンバーが掲載されてゐます。
http://www.jcomwest.jp/ahndante/t_080201.html
 番組を見てご来店ゐただいた方に感謝します。ありがたうございました。

 その他華道の機関誌、サブカル雑誌等にも来月以降登場しますが、あまり一般的でない雑誌なのでここでは告知しないと思ひます。偶然見かけられた方はそつとしておいてくださいませ。
また京都(室長)
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 朝から雪。昼にご近所のGohanya cafe kitchenさんのバレンタインイベントを覗きに。
目当ての少女古書館(http://syoujokan.exblog.jp/)さんの棚はプレミア本がたくさん。スペースはあまりありませんが、見応へのあるラインナップ。欲しかつた本も無事に買へました。

 そして今京都。今週終了の内藤ルネ展にきてゐマ〜ス!
 これから北大路の昔人形青山に行くつもりなの☆
 なんとはなしに血中の昭和乙女濃度が高い。いへ冗談です。

(追記)
 ルネさんの業績を偲ぶ展覧会の趣が強く、洋服やぬいぐるみが再現されていたのが値打ち。そしてやはり絵は晩年まで向上し続けるものなのだなあ、と思ひました。

 昔人形青山でも、少しだけルネさんの話を伺ふ。いつもたくさんのことをレクチャーしてくださる。アラビクもいつかはあんなに素敵な店にすることができるだらうか。
地図など(室長)
 場所がわかりにくいとのご指摘を受け、密かに構築中のウェブサイトに地図を掲載しました。如何でせう。
 http://www.arabiq.net/
以下の「ABOUT」をご参照くださいませ。

 その他お知らせを再掲。
(その1)
 来週の金曜日(15日)は所用につき、閉店時間を午後7時にします。何卒ご寛恕くださいませ。

(その2:再告知)
 大阪北部〜兵庫東部あたりで放映されてゐるケーブルテレビJ:COMの番組「Ahndante」に当店が登場してをります。2月前半放映分。放送予定はこちら
http://www.jcomwest.jp/ahndante/intro.html
お知らせなど(室長)
(その1)
 来週の金曜日(15日)は所用につき、閉店時間を午後7時にします。何卒ご寛恕くださいませ。

(その2:再告知)
 大阪北部〜兵庫東部あたりで放映されてゐるケーブルテレビJ:COMの番組「Ahndante」に当店が登場してをります。2月前半放映分。放送予定はこちら
http://www.jcomwest.jp/ahndante/intro.html
プチ特集
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恒例のプチ特集台です。今回はバテレンタイン。ソローキン『愛』や先日までトラウマ児童文学として置いてゐた本があるのは仕様です。