アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」追加入荷のお知らせ
 お問ひ合はせを多くいただいております、「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」の追加入荷が完了しました。事務局が500部刷ったとのことですが、もうほとんど在庫がないとの由。
 通信販売も行っております。本体が1,000円、送料180円の合計1,180円にて承ります。
 振込口座等については以下のメールにお問ひ合はせくださいませ。
 cake★qa3.so-net.ne.jp(★=@です)

 ※完売しました。
後悔なんてしない
 映画を見てきました。「後悔なんてしない」(2006,韓国,監督・脚本:イ=ソン・ヒイル、出演:イ・ハン、イ・ヨンフン、キム・ジョンファ、キム・ドンウク)
 http://www.no-regret.jp/
 美男子俳優陣によるゲイ映画。
 (あらすじ)
 孤児院を出てソウルの工場で派遣作業員をしながらバイトをして予備校に通うワーキング・プアのソミン(イ・ヨンフン)と、ソミンの派遣先の大企業の御曹司ジェミン(イ・ハン)。偶然の出会ひが重なって、ジェミンが猛烈な恋に落ちるのです。しかしジェミンに反発し、工場を辞め行方をくらませたソミンはウリ専バーで働いてゐたのであった。(前半)
 お互いの愛を確かめ合ひ、睦まじく時をすごすふたりであったが、ジェミンには婚約者が居る。ジェミンがゲイと知りながら結婚の段取りをすすめる両親や婚約者、そしてジェミンじしんを前にソミンがとった行動とは!?(後半)

 上映前にトークライブをしてくださった寺田正廣さんによると、1980年代に盛んに欧米で作られた初期ゲイ映画の手触りがあるとのこと。例えばゲイと社会のかかわり、如何にカミングアウトするか、如何に社会と向き合っていくか、などと云ふ点。一言で云へば「重い」映画です。
 とは云へ2006年に作られた新味もあり、それは寺田さんの言葉を借りれば「社会問題に逃げない」点で、ヘテロセクシャルの監督がつくった映画のやうに、ゲイを利用して自分の問題意識を主張することは避けられています。ちなみに近年の映画でのゲイの役割は越境者として、自由人の立場から恋に悩む女性のアドバイサーとして活躍する、という軽やかな役回りが多いとのこと。成程。
 兵役があり、日本以上の学歴社会であり、コネがものを云ふ韓国社会がゲイを抑圧する現状も随所に見られますが、あくまでも二人の男性の恋が描かれるとのこと。

 と、以上の予備知識を持って映画を観ましたが、主演のイ・ヨンフンがかわいらしくもかっこいい。監督、気に入ってるんやなあ、と関西弁で感心。そしてそんなイ・ヨンフンを使って、生々しくゲイの世界を描いてゐます。やりますね、監督。
 基本的には身分違いの恋を描いた映画であり、前半は貧しく育ったソミン(イ・ヨンフン)の、符号の御曹司であるジェミン(イ・ハン)への反発が強調されますが、後半、愛が開花してからの二人の姿は微笑ましくも生々しく、見ごたへがあります。といふか前半はソミンのプロモーションビデオのやうなシーンがたびたびさしはさまれてをり、たまらんです。
 落とし所はどこだ? という興味で最後まで真剣に見てをりましたが、ああ、さうきたか、というラスト。「恋愛」が「つきあい」になった瞬間、それは「非日常」から「日常」となり、すなわち二人の恋は時間の流れに沿った生活の中に組み込まれて行くのでありますから、かうなるのは仕方のないことなのでありませう。
人形古書紹介
 少しづつですが、人形を扱った古書の紹介をして参りませう。

 相場るい児写真集「RASEN」(光琳出版社,1997)限定2000部シリアルナンバー入り。相場るい児、写真家・豊浦正明署名入り。過去の個展のポストカードが付きます。
 自然のもとに相場作品を持ち出してのロケ撮影。モノクロ写真による陰影が、懐かしさ、切なさ、恐ろしさ、ユーモアといった相場作品の魅力を引き出しています。¥1995.-


ポストカード写真集「Puppengrüße」経年並。
 ドイツで出版された写真集。タイトルは「人形の挨拶」といったところでせうか。少女と人形がともに写ったアンティーク絵葉書がカラーで掲載されてゐます。¥5,000.-


「幻想西洋人形館」内藤ルネ(詩と構成)・安東紀夫(写真) (1974,サンリオ出版)経年並。
 文庫サイズの美しく、かわいらしい本。内藤ルネがコレクションした人形の写真に、詩が添へられてゐます。¥5,000.-


「ANITA'S DOLL MUSEUM 西洋人形館 沢渡朔写真集」沢渡朔(写真),アニータ・ホーキンズ(解説)(1980,サンリオ出版)経年並,表・裏両見返しにテープ跡あり
 『少女アリス』『なおみ』等で有名な沢渡朔によるアンティークドール写真集。アニータ・ホーキンスによる解説のほか、巻末のエッセイが実に豪華。執筆陣に宇野亜喜良、三枝和子、高橋睦郎、高橋康也、都築道夫、中井英夫、松浦理英子、山尾悠子、四谷シモン、神谷圭子。
 エッセイと云ひながら山尾悠子は端正な短編小説「人形の棲処」を成立させてゐます。文芸ファンにも是非。¥6,000.-

明日は人形の夜
 時の流れが速いですね。もう今年も100日をきりましたよ。明日は月例、人形の日です。夜10時まで開店してをりますので、お仕事帰りの方も気軽におこしくださいませ。

 せんにお知らせした通り、人形関連の書籍も本棚に多く陳列しはじめました。ドール・フォーラム・ジャパン(DFJ)のバックナンバーについては、販売目録(http://www.arabiq.net/DFJ.html)には掲げてゐないものでも閲覧可能なものがあります。
 目録記載のバックナンバーについては通販可能です。価格等については号によって異なりますので、お問ひ合はせを。
23日(祝)は営業
 小室等は素晴らしく、「鉄腕アトム」「死んだ男の残したものは」などの谷川俊太郎作詞の曲を中心に構成した第二部が最高でした。

 さて、明日は火曜日ですが、祝日なので営業してをります。ご来店をお待ちしてをります。

 さてさて、告知が遅くなりましたが、乙女屋様に店内のショーケースをプロデュースしていただきました。人形関連の書籍も随分増へて参りました。写真をご覧ください。

 中に映ってゐるのはてらおなみさんと璃瑶子さんの人形ですね。アリスが璃瑶子さん。

 乙女屋さんも明日は営業との由。ともどもよろしくお願ひします。
小室等、天六へ
 天六のブックカフェ、ワイルドバンチにて明日(9月20日)小室等のライブがあります。

日時:2008年9月20日(土)
18:30 開場 19:00 開演
料金:予約 4,500円/当日 5,000円
(ドリンク類は別途ご注文ください
この秋のスペシャルライブ第1弾は、日本フォーク界のパイオニア小室等と、続木力・谷川賢作のユニット「パリャーソ」とのコラボレーションライブです。
http://www.geocities.jp/bcwildbunch/


 小室等の初期アルバムに参加した詩人の豪華さ! 松岡正剛、吉岡剛造、かぜ耕士、茨木のり子、滝沢耕平、大岡信、谷川俊太郎……
 といふわけで小室等は長年わたしのアイドルなのである。わたしも行きます。遅刻しますが。
デトロイト・メタル・シティをば観覧
 日常もユー書いちゃいなよ、と云はれたので、こちらのブログに日常雑記も書くことにします。とはいへ品位をたもって。今日は映画「デトロイト・メタル・シティ」を見てきました。
 水曜といふことはレディースデイで、梅田TOHOシネマはほぼ満員。列に並んだ品のいい老夫婦がチケットを持ちながら「……今日は若い人の映画見たいだね」といふ会話をされてをり、また呆然。ゴートゥDMC!
 アラビクのお客様の80%はデスメタルファンで50%がオシャレポップファンですから(嘘)、今更説明は不要かもしれませんが、オシャレポップミュージシャンに憧れる若者がデスメタルバンドのカリスマになってしまふといふ大人気漫画が原作です。
 映画は原作が持つ「ヒーローもののパロディ」という側面が強調されてゐるやうに思へました。正体を必死に隠したり、ヒーローとしてのアイデンティティに悩んだり、悪役と対決したり、声援で復活したり。「NO MUSIC NO DREAM」といふテーマが前面に出てくるあたりもなぜか「いい話」っぽい。

 原作は偽物の登場だとかさまざまなバンドとの対決だとか、「ヒーローもの」としてのパターンはやりつくした感があるので、ここまでヒーローものとして焼き直した映画を作られると、今後やることがなくなるのではないか、と心配になってしまふのであります。
 尚、アラビクでは原作漫画を仕入れる予定はありません。あしからず。
個展終了
 おかげさまで、フジワラヨウコウ/森山由海個展「Other Aspects 挿絵で聴くジャズ・ミステリー」は無事会期を終へました。多数のお客様のご来場、感謝いたします。ありがたうございました。

 次の企画で決まりつつあるものは、年明けとなります。追ってお知らせします。お楽しみに。
仕入れた本などなど
 本日は露骨な宣伝。さる9月13日に開催された「島崎博さんを迎える会」にて頒布された、「幻影城の時代 増刊編集者断想集成」が入荷しました。かつての伝説の探偵小説雑誌「幻影城」の編集後記を集めたものです。巻頭に新収録の島崎氏の言葉もあり。
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 販売価格1,000円。部数に限りがありますので、お早めに。

 もうひとつ「伝説の」と冠をつけませう。天野可淡「KATAN DOLL fandasm」署名入本が入荷。奥付をみると、1990年8月の刊行。その年の11月に亡くなられたことになるので、最晩年の署名といふことになります。珍しいメタリックな赤銅色の筆ペンのやうなサイン。
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 販売価格25,000円。sold
展覧会盛況です
 なんだかんだと毎日営業。フジワラヨウコウ/森山由海個展「Other Aspects 挿絵で聴くジャズ・ミステリー」はおかげさまで盛況です。ファンの方に加え、出版関係の方もたくさんご来場いただいております。
 昨日は理論社ミステリーYA!ご担当の野良猫エディター様にご来店いただきました。打ち合はせをされる、とのことでエディター様とご同行された小説家のM先生はステキにかわいらしい方で、萌へ萌へな感じでした。近く関東・関西で公開対談を予定されてをられるとの由。
 同志社大学のミステリ研究会の方も来られ、活気のある雰囲気に。本棚からなかなかなチョイスをされてゐたので、頼もしい(などと云ふのはおこがましいか)。

 展覧会は週明け、15日(月・祝)まで。