アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



纏足少年
鳩山 郁子
青林工芸舎
¥ 1,470
(2000-08)

  こんにちは、シンデレラです。今日は、店主の厳しい目を盗んで読んだ漫画について少し書いてみます。何故目を盗んで読まなければいけないのか、ですって? それは貴方、取り上げられてしまいますもの。

 鳩山さんって、カラーイラストと漫画でとても絵柄がちがうのですね。正直なところ表紙にはあまり惹かれなくて、これまで躊躇していたのが悔やまれます。
 内容は民主化していく中国が舞台。新興勢の寄宿学校に通う少年が、肉食文化を捨てきれない少年や王朝時代に纏足で宦官で歌手であった人物と出会う話です。その詩的な情景はもちろん、愛らしい少年去勢歌手たちにうっとりとしてしまいました。

「庭院の砕け散った硝子の天井越しに、私は見たのだよ」
「何を見たのです?」
「纏足を翻し、千秋板(ブランコ)に乗っている七十余人の少年達の姿をだ」

 「歌うこと」の意義としても面白い。以前「贅沢な呼吸」というタイトルで歌に関する日記を書いたことがあったので、キャラクターが同じようなことを感じていると思うと嬉しいです。以下は去勢歌手の台詞。

「私にとって歌唱する事が呼吸なのだ」


鳩山郁子さんのHP→(最近も大いに活躍されているご様子)

 鳩山さんは「―少女幻想綺譚―その存在に関するオマージュ」にご参加なさるらしい。
 な、なんて豪華な作家陣。わたくし大変行きたうございます。
 纏足といえば山本じんさん! アラビクでの展示も継続中ですし、HPで纏足少年の絵も拝見出来ますし、上記の展示にもご参加なさるようです。嗚呼、纏足。纏足靴をこの手にとってみたい。『カストラチュラ』の巻末に纏足靴のイラストが複数収録されていて、とても素敵なのです。山田詠美の『蝶々の纏足』も積んであります。
庭の薔薇
 今日は店主から。 週末は連日の雨ですね。庭の薔薇も活き活きと。



 咲きすぎると薔薇の木によくないので、最初の一輪は摘んでしまいました。カウンターに飾りましたが、香りの強いこと。
路地猫

 金曜日に猫ストーカーをしてきました。
 いつも触らせてくれる子に逃げられて少しブルーに。匂いのするハンドクリームと日焼け止めをつけていたので、そのせいなのでしょうか? それとも猫が気分屋だから?



 この子もすぐにピューッと逃げちゃいました。でも見返り美人でしょう?
 中崎町は猫の似合う町ですね。何気なく歩いていても、気が付くと光る双眼に見つめられているかもしれませんよ。

 わたくし店主じゃありませんが、名乗ったほうがよろしいのでせうか。(←店主風)きっと文体でおわかりになるとは思ひますが、文責ははっきりさせたほうが良ひのかもしれません。

次は薔薇
 済美公園の八重桜はまだ花を残してゐますね。アラビクの庭の薔薇の蕾が、少しずつほころびはじめました。
 まだ蕾ですが、かすかに香りが。



 浮かぶやうに咲く花をみて、魂はかういふかたちをしてゐるかも、と思ふことがあります。
四月限定「サクラ抹茶ラテ」

 本日は、期間限定でご提供している「サクラ抹茶ラテ」のご紹介をいたします。


 色が爽やかでよいですね。
 さらりとした抹茶に、サクラシロップがほんのりアクセントになっています。
 一応四月限定、とのことなのですが、既に四月も下旬。櫻のように儚い命のこのラテを、ぜひお早めにご賞味くださいませ。
 ところで、このシャッポは素敵ですね。


 そしてもう一枚。お店のデジタル一眼カメラをいじらせてもらったので、その習作です。


 これは、Luftのスペースとお手洗いの間にあるすだれ(?)です。ビーズがついていて可愛いです。
 すだれ越しの店内、というのも面白い光景。また機会がありましたら、少し立ち止まってご覧になってください。

はじめまして
  皆さま、はじめまして。この度、ブログ係を拝命したシンデレラ1号です。日曜日にスタッフをしております。
 店主指令としては、内容もタイミングも仮名遣い(笑)もフリーとのことなので、アラビクや中崎町のことなどで、私がお伝えしたいことを書かせて頂きます。
 ブログの活性化に、微力ながら尽力したいと思います。

 何かと未熟者ですが、どうぞよろしくお願いします。
 コメント欄やお店で、ぜひお気軽に声をかけてくださいね!
Sanpo Magazine 1号完売
 春の陽気に誘はれてか、「Sanpo Magazine」の売れ行きが、再び好調に。1号が完売、2号も残部僅少となってをります。
 2号はアラビク店主も「大阪ブックカフェ巡り」を寄稿してをります。該当記事はともかく、切り口の面白い、情報価値の高い誌面だと思ひますので、ご興味のある向きは是非。
田中啓文さん、日本推理作家協会賞受賞! 
 田中先生、おめでたうございます! 

  http://mainichi.jp/enta/art/news/20090418ddm012040192000c.html
 該当記事より引用

 第62回日本推理作家協会賞の受賞作が17日、決まった。長編および連作短編集部門は、道尾秀介さんの「カラスの親指」(講談社)と柳広司さんの「ジョーカー・ゲーム」(角川書店)。柳さんは第30回吉川英治文学新人賞とダブル受賞。他の部門は次の通り。

 短編=曽根圭介さんの「熱帯夜」(野性時代08年6月号)、田中啓文さんの「渋い夢」(ミステリーズ!28号)▽評論その他=円堂都司昭さんの「『謎』の解像度」(光文社)、栗原裕一郎さんの「<盗作>の文学史」(新曜社)

 昨年9月、当店で開催したフジワラヨウコウ/森山由海個展「Other Aspects 」は、受賞作「渋い夢」が収録されてゐる田中啓文『辛い雨』(装画:フジワラヨウコウ)の刊行にあはせたイベントでした。かういふかたちで再び田中作品が脚光を浴びることが、わがことのように嬉しいですね。

 フジワラ先生の該当作品の装画パネルやドローイングも店内で展示・販売してをりますので、ご注目を!

 
 また、4月25日(土)の落語会「ハナシをノベル!」(於:大阪中央公会堂)は、田中啓文祭りださうです。田中先生も勿論トークに登場とのこと。詳しくはこちらから。
http://www.h4.dion.ne.jp/~fukuda/index.htm

さくらよさくら
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済美公園の桜。

家々に釘の芽しずみ神御衣(かむみそ)のごとくひろがる桜花かな
                                                         大滝和子

あえかなる桜の国の暴君は何を描けと君に告げしや
                                                         村山槐多
業績続々

 4月にはいって2回目の週末、新社会人になった方たちが続々と卒業論文や修士論文のアブストラクトを持ってきてくれました。

 武庫川女子大学生活環境学部生活環境学科の方の卒論「ブックカフェの魅力 〜大阪市北区中崎町界隈を例に〜」は、ジャーナリスティックなまとめ方をした、読み応えへのある論文でした。アラビク店主の言葉が取り上げられてゐる部分は面映ゆいですね。

 いっぽうの大阪大学の方の修論……ええと、専攻名とautohrが抜けてゐましたが(笑)、「都心近傍住商混在地域におけるリノベーション型店舗の集積要因に関する研究 〜大阪市北区中崎町を事例に〜」は、アンケートと統計的手法を駆使した成果で、中崎町に来られるお客様の属性(カフェ経営への興味が強い、など)を明らかにし、また、中崎町の店舗の属性を「経営に積極的な外向きのグループ」と「自己表現の一環として店舗を開店した、経営に内向きのグループ」とに分類し、それぞれが中崎町の魅力の両輪となってゐることを明らかにした、興味深い論文です。

 中崎町で店を構える人や、いずれ店舗を持ちたい、と考へてゐる人はこれらの研究成果に目を通し、よく理解した上で行動に移されることをお薦めします。
 今年度も中崎町を研究対象にしたい研究者・学生の方は、これらの業績を踏まえ、中崎の魅力を掘り下げて分析していただけるとわれわれの店舗経営に大きな助けとなります。少しずつアラビクも変はっていくでせう。