アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



済美小学校
 アラビクといふ店をはじめようと思って、はや3年。

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  せんじつ出席した町内会での報告によると、今年6-9月が解体工事、以降再来年(H24)3月を工期エンドとした15階建てのファミリーマンションを建てる、とのこと。

 詳しく聞けなかったのですが、現在地元で済美センターと呼ばれてゐる集会所は、新築マンションの敷地に維持されるとのこと。
 また、施工期間中の今年と来年は「済美カーニバル」は開催されないやうです。
 もうひとつの夏祭り、豊崎宮夏祭りはスタート地点として済美小学校跡地を使ってゐたのですが、どうなるか聞いてをりません。

 中崎町は用途地域でいふと商業地域なので、基本的に「なんでも建てられる」のですが、多くの車が往来するショッピングモール等にならなかったのはよかったと考えるべきなのでせうか。

 旧済美小学校の開講は大正5年ださう。取り壊し予定の校舎がいつ建てられてものかはよく知りません。


 アラビクの建物は昭和4年に作られたのださう。中崎町の戦前の建物の多くが大正時代から昭和初期に建てられたものだと推測されます。明治7年、大阪−神戸間に鉄道開通。梅田駅が誕生。大正3年、阪神電鉄北大阪線(野田−天六)開通、翌年大阪市電のうち、[天六−北浜]間が開通。
 大正14年、大阪市は市域を拡大します。関東大震災の被災者が東京都心部を逃れる。大阪市は日本一、世界でも第6位の人口を抱える都市に。「大大阪(だいおおさか)」時代です。
 人口増、都市交通の整備を背景ににニュータウン的に成立したのが現在の中崎町と認識してゐます。

 大大阪時代の象徴。小生は中崎町を大阪の宝だと認識してゐます。現在の「カフェ街」としての中崎町も町並みの維持という観点から、一定の評価をしていいと思ひますが、さて「民意」は?
 
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 親しまれた施設や店、雑誌なんかもさうですね。さういったものがなくなるとき、みな「残念」と言ひますが、維持できない原因は基本的に経済的な理由につきます。ぶっちゃけますね、儲かってりゃ、誰もそれを手放しません。

 市と府との状況は違うのかもしれませんが、児童文学館も大フィルもワッハ上方もいらん、といふ府知事の支持率が約70%なんだから、それが「民意」なのでせう。

 
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 お客様、作家様、取引先の皆様に支えられてアラビクはいま、あります。
 あなたにどのやうに応えると喜んでいただけるだらうか、それを考え続けることができる限り、わたしはここにゐます。本棚に手をいれ、珈琲をテイスティングし、作品をレイアウトする。いい本は必ずあります。珈琲豆も美味しいものだけ。作家も一流の方ばかり。


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 会社員時代の同僚が来てくれたので、いろんなことを連想しました。
 
 

時計草
  品種名はパッシフロラ・インセンス。パッションフルーツも時計草の仲間ださう。いただいた苗が伸びてきたので、誘導用に紐をつると、いちにちでそれをしっかとつかむやうに蔓がまきついて。
 
 いただいた際に澁澤龍彦の『フローラ逍遥』で、南方熊楠が庭に伸びたトケイソウの根に手をやいてゐ、澁澤がそれを面白がってゐるといふ記述があることも教えていただきました。



 『フローラ逍遥』の帯についてはギャラリーCAVEさんにご教示いただいたのですが、市中に出る前にいったん回収され、帯を外されたたため、出版社に直接注文した方のみが帯付初版本を手にすることができたのださう。

 この時計草はアラビク前の鉢です。どんな色の花がさくのでせう。
月と金星
 ……twitterで写真をアップされてをられる方が居たので、月を探しに。三脚を担いで角の煙草屋の前から西に向かってパチリ

  
 三日月の左斜め下、月を弓と見立てると、矢が放たれた先の電線が交差するところにあるのが金星です。

 撮影してゐるとご近所の方やお店の方が「なんかあるんでっか?」と聞いてくだすったので、しばし立ちばなし。いい季節ですね。
 
 追記。上弦の月、下弦の月についてはこちらが分かりやすいです。意外に難しい。http://hooktail.sub.jp/astronomy/moon/
ねじの回転
 ティラミスのチーズが柔らかく伸び、季節のケーキのバターがよく溶ける季節となりました。

 ときどきなのですが、アラビクのメニューのうち、仕込みの必要な水出珈琲とティラミスとバターケーキがすべて同じタイミングでなくなり、さらに仕込みの仕込み(ティラミスの土台になる部分など)もない! といふことがあります。
 

 なんでも手でするのが好きで。メレンゲを作るのも泡だて器を自分で振ります。気温や湿度でバターや卵やなどの状態が変はるから、といふ実際的な理由と、何も考へずに手を動かすことに没頭したいといふ精神的な理由が半々。


 
 せんだってつけた扉の取っ手を店内から。海外のビンテージかと思ひます。JIS企画などは当然関係ないため、長いねじを切って、ひしゃげたねじ先をグラインダで整へて外の取っ手のめねじとつなげました。

 ないものは工夫して。寄り道を楽しんで。
 ねじについて検索してみたら、wikipediaでねじの物理的原理が解説されてゐました。
つまり自然に緩まないねじの効率は50%より小さくなる
 わかりさうでよくわからない文章だけれどちゃんと意味のある文章で、詩的。かういふ文章の意味を考へる時間があるぜいたく。詩歌を同じくらゐの集中力で読んでゐるだらうか。

 

アイス・ローズ・カフェ

 昨年ご好評をいただきましたローズ・カフェを、改良してご提供開始しております。下からローズ・シロップ、ミルクとバニラアイスをシェイクしたもの、水出し珈琲と層になっており、綺麗なグラデーションとなります。

すでにこの薔薇のドリンクにはファンの方がいらっしゃるようで、大変うれしく思っております。ぜひ、ご賞味ください。

展示情報
  陶人形作家、相場るい児さんの陶器作品、トサカネコ舎・海藤亜紀さんの新たな作品が到着してゐます。店内展示中。
 http://tosakaneko.fc2web.com/

 それにしても上サイトの現在のトップ画像、猫と蛸の作品は迫力がありますね。作りこんだ作品は写真画像で大きく見えるものですが、実際のサイズはそれほど大きくないと思ひます。
 アラビクに到着した相場さんの作品は、手のひらサイズの香合(こうごう)、ペンダントなど。是非実際にご覧ください。

 トサカネコ舎さんの作品はおなじみ、胎内万華鏡シリーズです。店内の照明を少し変へただけで、ガラリと表情が変はる、不思議な猫少女。
下手に塗りたい

 さういへばドキュメンタリー映像作家、岡村淳さんの首都圏上映会は明日(5月4日)が最終なのであった。詳細は以下をご覧ください。

 http://www.100nen.com.br/ja/okajun/

 岡村淳監督の「下手に描きたい」は4日午前10:30上映の予定です。
 場所 小岩コミュニティホール
  (JR小岩下車、南口サンロード徒歩10分、小岩図書館2F)
 問い合わせ メイシネマ上映会 電話・ファックス03-3659-0179



 さういへばさういへば、扉の色を塗りかへたのでした。
 

 そして庭のブルームーンが咲きほころびはじめてゐます。揚羽蝶が。幼虫が育つ蜜柑類の葉、さういへばさういへばさういへば、2匹のゾウさんの近くにありますね。中崎探検の折には探してみてください。