アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
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北見隆・建石修志・山本じん三人展「星蝕の夜」作品紹介その2
 昨日の北見隆さんに続いて建石修志さんの作品を。

 今回は立体二点、混合技法二点、鉛筆画が九点と、見ごたえがあります。鉛筆画はすべて、挿画として使われたもの。
 中井英夫『とらんぷ譚』より「邪眼」……この原画を展示しています。



 続いて芦辺拓『綺想宮殺人事件』から綺想宮。鉛筆画なのに、輝いて見える不思議さ。虫眼鏡で何度も見るのですが、ため息ばかりがでます。


 このほか、久世光彦、皆川博子、篠田真由美作品を飾った建石さんの挿画・表紙画をご覧いただけます。

 *作品は販売しております。通販も可能です。お気軽にcake★qa3.so-net.ne.jpまでお問い合わせください。
北見隆・建石修志・山本じん三人展「星蝕の夜」開催中です
先週より北見隆・建石修志・山本じん三人展「星蝕の夜」開催しております。

おかげさまで連日盛況のうちに閉店時間を迎えております。ありがとうございます。

出展作品を少し紹介しましょう。まずは北見隆。



作品画像ではないですね。まさか、そう、その通り。殊能将之『ハサミ男』『鏡の中は日曜日・樒/榁』恩田陸『麦の海に沈む果実』などのカバーとなった作品が展示されています。意外なサイズ、と評判です。是非ご覧ください。今邑彩『よもつひらさか』などのカバー画となった版画も展示中です。



*作品は販売しております。通販も可能です。プライス、サイズ等はお気軽に下記アドレスにお問い合わせください。
cake★qa3.so-net.ne.jp(★を@に変換してください)
北見隆・建石修志・山本じん三人展『星蝕の夜』開幕しました

 本日より北見隆・建石修志・山本じん三人展『星蝕の夜』開幕いたしました。平日の寒い日にも関わらず、多くのお客様にお越しいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

 参加作家の山本じんが、14日の土曜日に在廊します。よろしければ皆様是非。作品をゆっくりご覧になりたい方はまた改めて。平日がお薦めです。

 さて、カッコイイと評判のフライヤー画像をアップします。推薦文を津原泰水先生より賜りました。

 

「三人展」開催の報に、胸が高鳴った。
 手許に山本じんの銅版画がある。テーブルの下にでも逃げ込んで、こちらを睨み返している、裸の少女。金属板に刻まれた息をの
むほどに細やかな点描と傷が、小さな平面から浮かび上がらせているのは、闇と、そのなかの肉だ。微熱ぎみの体温と、重なり合った皮膚の狭間のじっとりした汗と、その匂いが運んでくる欲望と恐怖だ。
 建石修志の名は、季刊「幻想文学」育ちの僕らに、涼やかなデジャ・ヴを呼び起こす。長年にわたり「紙の上の大理石彫刻」とも称すべき硬質な視覚幻想を、圧倒的なクオリティをもって多数のメディアに送り出してきた。そこに宿っていた未知への郷愁は、間違いなく現在の幻想文学隆盛の口火となっている。引きずり込まれた物書きの誰しもが、彼のように「描き」たかったのだ。
 個人的にはより古い家のように感じるのが北見隆の空間だが、意外なことに彼が三人のなかでは最も若い。手掛けてきた小説装画が多く、僕の少年期と重なるところも大きく、インターネットもない時代ではどういった人か調べることも叶わず、なんとなく円熟期に達した大家のように思い込んで、三角錐だけで構成されたような凛々しい人物像を、吐息まじりに眺め続けていた。
「時代の輪切り」という言葉を僕はよく使う。事物を個別に調べていたのでは実感できない過去の息吹も、野菜を何本もまるごとざっくりと断つように「この時点で、ここではこれが起き、そこではあれが起き……」と並行的に認識すれば、不意に体感できる。
 太宰治と松本清張は同い年だ。村山槐多と宮沢賢治と尾崎翠も同い年である。ところが活躍した時代が違うので、まるで別々の世代のように……僕らはしばしば、そういったことを思い違ったまま生きている。
 いま同時代の、三人三様に堅固な幻想世界を担い続けてきた画家たちが一同に会することは、僕らを、そして後世の人々を、必ずや無用な錯視から解き放ってくれよう。

     津原 泰水