アラビクは大阪市北区中崎町にあるブック&ギャラリーカフェです。
http://www.arabiq.net/



回答編:目玉の話「行け。勇んで。小さきものよ。」会場から

眼球譚……ということでもないのですが、ツイッターでの問題編に対する回答です。

 

問題編はこちら。

 

 

 では回答は……

 

 画像のカップはベースの色に、白いレリーフのような装飾が施されていますね。色の異なる多層の材料を彫り、モチーフを浮き立たせる技法をカメオと言います。分厚い貝殻などが使われます。

 

 いっぽう、同じように多層の材料のモチーフになる部分を掘り下げるのがインタリオ。画像でわかるでしょうか? わかりやすいように、後ろからライトを当てました。頭部は35ミリ、黒目の直径は2ミリほど。インタリオの穴の直径は1ミリもないでしょう。

 

下の画像のアリアはアイホールを開けて、グラスアイが入っています。印象がずいぶん変わりますね。

 

 

 

瞳屋さんのグラスアイ。白めの直径が約20ミリ。マクロで拡大して撮影しています。光を浴びて潤んだように光る瞳……神秘的です。凸レンズの効果で、瞳孔が鑑賞者側を見ているように錯覚します。追視、追い目、などと言います。

 

 

いっぽうこちらは帽子をかぶったおぐらとうこさんの作品。赤い服を着た子の目は、アンティークドールに使われていたもの。

 

 

左右異なる種類の目が入っているのです。左目はガラスのドームがありません。おぐらさんは視線が合わないよう、あえて瞳孔の向きを変えて目を嵌めます。両方が追視する目だと、斜めからみたときに違和感が強くなりすぎるのだそう。

 

こちらはカタオカトモコさん。青い目の子には瞳孔がごく薄く、補色に近い黄色っぽい色で入っています。

 

 

こちらは紅紫紗貴ひなら「狐の嫁入り」……わずかに上を向いた視線が、正座する三つ折れ人形にぴったり。

 

目にグラスアイを入れない「描き目」という手法もよく使われます。これもカタオカトモコさん。

 

ヒロタサトミさんのnyanyちゃん。描き目と描き涙です。おうちが決まってよかったね。

 

忘れちゃいけない香山リカちゃん。描き目です。たくさんの人に愛されるようにできたかわいらしさ。お客様からも楽しい思い出話をたくさん聞きます。

 

 ということで、正解は「カメオとインタリオ」でした。超接写レンズをつかって撮影をしたので、作家にとっては想定外の画像かもしれませんが、さすが、精密なお仕事をしていただいています。実物はおそらくご想像よりずっと小さいです。

 

 会期は4月17日(月)まで。お見逃しなく!

 http://arabiq.jugem.jp/?eid=551