眼球譚……ということでもないのですが、ツイッターでの問題編に対する回答です。
問題編はこちら。
明日は定休日です。さて、@Qeromalion 鳴力さんのミニビスク"アリア"とウェッジウッドのジャスパー。このふたつには対照的な技法が用いられています……あ、仕込みしなくては。気がついたかたはいらっしゃいますか? 仕込みが終わったら回答編です。 pic.twitter.com/pr4jAMq2Mc
— アラビク 森内 (@Arabiq_owner) 2017年4月11日
では回答は……
画像のカップはベースの色に、白いレリーフのような装飾が施されていますね。色の異なる多層の材料を彫り、モチーフを浮き立たせる技法をカメオと言います。分厚い貝殻などが使われます。
いっぽう、同じように多層の材料のモチーフになる部分を掘り下げるのがインタリオ。画像でわかるでしょうか? わかりやすいように、後ろからライトを当てました。頭部は35ミリ、黒目の直径は2ミリほど。インタリオの穴の直径は1ミリもないでしょう。
下の画像のアリアはアイホールを開けて、グラスアイが入っています。印象がずいぶん変わりますね。
瞳屋さんのグラスアイ。白めの直径が約20ミリ。マクロで拡大して撮影しています。光を浴びて潤んだように光る瞳……神秘的です。凸レンズの効果で、瞳孔が鑑賞者側を見ているように錯覚します。追視、追い目、などと言います。
いっぽうこちらは帽子をかぶったおぐらとうこさんの作品。赤い服を着た子の目は、アンティークドールに使われていたもの。
左右異なる種類の目が入っているのです。左目はガラスのドームがありません。おぐらさんは視線が合わないよう、あえて瞳孔の向きを変えて目を嵌めます。両方が追視する目だと、斜めからみたときに違和感が強くなりすぎるのだそう。
こちらはカタオカトモコさん。青い目の子には瞳孔がごく薄く、補色に近い黄色っぽい色で入っています。
こちらは紅紫紗貴ひなら「狐の嫁入り」……わずかに上を向いた視線が、正座する三つ折れ人形にぴったり。
目にグラスアイを入れない「描き目」という手法もよく使われます。これもカタオカトモコさん。
ヒロタサトミさんのnyanyちゃん。描き目と描き涙です。おうちが決まってよかったね。
忘れちゃいけない香山リカちゃん。描き目です。たくさんの人に愛されるようにできたかわいらしさ。お客様からも楽しい思い出話をたくさん聞きます。
ということで、正解は「カメオとインタリオ」でした。超接写レンズをつかって撮影をしたので、作家にとっては想定外の画像かもしれませんが、さすが、精密なお仕事をしていただいています。実物はおそらくご想像よりずっと小さいです。
会期は4月17日(月)まで。お見逃しなく!
http://arabiq.jugem.jp/?eid=551